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ATMに閉じ込められる [出来事]

昨年の12月初旬の出来事だった。
近くの某信用組合のATMに立ち寄った。
このATMコーナーは最近まで窓口がある有人店舗だった。
それが近くの支店と一緒になったため無人のATMコーナーになったのだ。

中に入ろうと自動扉のタッチプレートを押したがドアが開かない。
何度押しても開かない。
ATMも閉鎖してしまったのだろうか?
変だなと思いつつ中を覗いてみたがATMの機会は電気がついていて使用できるようだ。

ドアの故障かな? 仕方がないのでほかの支店に行ってみようと踝を返し立ち去ろうとした。
すると背中に何か気配がした。
振り返ると大きなガラス張りの自動ドアがゆっくりと、本当にゆっくりと開きだしたのだ。
まるで「中に入りたいなら入りな」と妖怪が薄ら笑いを浮かべ手招きしているような雰囲気だ。
恐る恐る中に入りATMを操作する。カードを入れ、通帳を入れる。
すると背後の自動ドアがゆっくりと、本当にゆっくりと閉まり始めた。
ドアが開いて人が入ったのだからドアが閉まるのは当たり前だ。
しかし、その閉まり方が気に入らない。
のっそりと、音もなく、あくまでもゆっくりと閉まったのだ、そしてピタッと。
嫌な予感がした。

操作が終わって外に出ようと自動ドアのタッチプレートを押した。
が、開かない!
自分が外に出るのを拒むかのように堅牢なぶ厚いガラスのドアーはビクともしないのだ。
「閉じ込められた」心底そう思った。
まるで間抜けなドロボーが出口を見失ってパニックになっているような場面だ。
ATMの脇にある電話器を取った。
呼び出し音がしばらく鳴って女性のオペレーターが出た。
自動ドアが開かなくなって出られなくなったというこの窮状を訴えた。
件の女性は何を騒いでいるのだといわんばかりに冷静に「手で開けられませんか?」
と聞いてきた。
手で開ける。そうか自動がだめなら手動でということか。
ちょっと待ってください、やってみます。
と電話機を置いてドアーに立ちはだかり二枚のガラスの隙間に手を入れて左右に思いきり押し開いてみた。
かなりの力が必要だ。
う~~ん!
左右に少し開いて真ん中に隙間が広がってきた。
もう少しだ。ヨイショ!
開いた!! ひと一人通れるほどの隙間が開いた。
電話器まで戻り「開きました!」とオペレーターに報告。
「そうですか、よかったですね」
「このまま出て行っていいんですね」
「結構です。ご利用いただきありがとうございました」

また閉まってしまうのではないかと恐怖を感じながら急いで外に出た。
しばらく行って後ろを振り返ると件の自動ドアがゆっくり、あくまでもゆっくり閉まっていくのが見えた。

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